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▪少林寺拳法とは何か

少林寺拳法は1947(昭和22)年、日本において宗道臣が創始した “ 人づくりの行 ” です。自分の身体と心を養いながら、他人とともに助け合い、幸せに生きることを説く「教え」と、自身の成長を実感し、パートナーとともに上達を楽しむ「技法」、そして、その教えと技法を遊離させず、相乗的なスパイラルとして機能させる「教育システム」が一体となっています。人間は生まれながらに、どのようにも成長してゆける可能性を秘めています。少林寺拳法は、その可能性を信じて自分を高め続けられる人、周囲の人々と協力して物心両面にわたって豊かな社会を築くために行動できる人を育てています。

▪少林寺拳法の創始の動機と目的

少林寺拳法の創始者である宗道臣は、戦後の混乱のさなか、自身の体験から、リーダーの質によって、集団や社会の方向性が大きく変わるという真理を悟りました。そして、リーダーシップとは、自信と勇気と正義感、行動力に根ざすものであると定義付けました。

人が平和で豊かに生きてゆくために、正しいリーダーシップを発揮できる人間を一人でも多く育てようという“ 人づくり” の志を抱いた宗道臣は、敗戦直後の混乱で自己を見失いそうな若者たちに、人として豊かに生きるべき道を説くとともに、身体を鍛え自信を得るのに有効な技法を教え始めました。修練の中で、道を説いて誇りや信念を引き出し、人が生まれながらに持つ成長の可能性を実感させ、自信と勇気と行動力を併せ持つ、社会に役立つ人を育てようと創始したのです。

▪少林寺拳法創始者・宗道臣の経歴

1911(明治44)年2月、岡山県作東町(現・美作市)生まれ。

17歳のとき、中国に渡り、大陸を駆け巡る。その間、縁あって嵩山少林寺の流れを汲む文太宗老師の知遇を得てその門に入り、各種の拳技を修得する。中国東北(満州)の地で敗戦を迎え、ソ連軍政下で1年を過ごす。敗戦直後の極限状況下で、人間の赤裸々な行動を目の当たりにし、法律も軍事も政治のあり方も、リーダーとなる「人の質」にあることを確信する。そして、真の平和を達成するためには、慈悲心と勇気と正義感の強い人間を育てる以外にないと決心する。1947(昭和22)年10月、香川県多度津町において、力愛不二の“ 教え” と自己確立・自他共楽を旨とする“ 技法” を中心とした、社会に役立つ人づくりの教育システムを考案して、拳禅一如の「少林寺拳法」を創始、少林寺拳法師家となる。 1980(昭和55)年5月、逝去。

▪金剛禅とは

少林寺拳法の教えは、とりもなおさず少林寺拳法創始者・宗道臣の教えですが、その宗道臣の教えの根本は、仏陀釈尊の正しい教えと、これを正しく継承した菩提達磨の行法を現代に生かすことにあります。すなわち、金剛禅とは死後の安楽や現世利益を説くのではなく、生きている人間が、少林寺拳法の修行を通して、まず己を拠り所とするに足る自己を確立し、そして他のために役立つ人間になろうという、身心一・自他共楽の新しい道なのです。なお、金剛禅という名称は、仏教の守護神とされる仁王尊の神名に因吽・陰陽二体の金剛神が象徴する無限・無量の宇宙の大調和をイメージして宗道臣が名付けたものです。

▪少林寺拳法の六つの特徴

(拳禅一如)

「拳」は肉体を、「禅」は精神を意味します。身体と心は別々のものではなく、互いに影響を及ぼす一体のものです。少林寺拳法では、身体と心を、どちらかに偏らせることなく、バランスよく修養します。

(力愛不二)

慈悲心や正義感に溢れていても、力がなければ、誰かの役に立ったり、助けたりすることはできません。また、どれだけ力があっても、誇りや信念がなければ、正しい力の使い方はできません。力と愛、理知と慈悲の調和こそ、少林寺拳法の行動規範です。

(守主攻従)

少林寺拳法の技法は、不正な暴力から身を守るためにあります。そのため、まず守り、それから反撃する技法体系となっています。また、確かな守りの体勢を築くことで、相手の弱点を冷静に見極め、有効な反撃ができると考えています。

(不殺活人)

少林寺拳法の技法は、誰かを傷つけるためのものではなく、自分や他人を守り、生かすためのものです。少林寺拳法の技法は、人の可能性を実感させ、成長の喜びを味わうために修練されます。

(剛柔一体)

少林寺拳法の技法には、突き・蹴りなどに対し、受け・かわしから当身で反撃する「剛法」と、手首を握る・衣服をつかむなどに対して、抜き・投げ・固めなどで反撃する「柔法」があります。剛法と柔法は、互いの特徴を生かし合い、巧みに組み合わせることによって、効果を倍増させることができます。

(組手主体)

少林寺拳法の修練は、二人一組で行うことを原則とします。これは、相手の行動に適切かつ柔軟に対処できる実戦的な技法を養うためであると同時に、共に協力して上達し、その喜びを分かち合うためです。

▪少林寺拳法の組織

少林寺拳法グループ

宗道臣によって創始された、「教え」と「技法」と「教育システム」を兼ね備えた“ 少林寺拳法(SHORINJI KEMPO)” は、一般社団法人 SHORINJI KEMPO UNITY、金剛禅総本山少林寺、一般財団法人少林寺拳法連盟、学校法人禅林学園、少林寺拳法世界連合(WSKO)、の五つの組織によって普及されています。少林寺拳法グループは、2005年4月に制定した新たな世界統一のシンボルマーク・ロゴの下、各法人・団体が連携・融和を図りながらその独自性を生かして、世界で一つの“ 少林寺拳法(SHORINJI KEMPO)” として社会教育活動を展開しています。

♦一般社団法人 SHORINJI KEMPO UNITY

1947年に、宗道臣が社会に役立つ人づくりを目指し、「教え」と「技法」と「教育システム」を兼ね備えたものとして創始した、流派のない“ 世界で一つの少林寺拳法(SHORINJI KEMPO)” を、今後も守り、正しく普及し発展させることを目的に、2003年11月に有限責任中間法人少林寺拳法知財保護法人として設立されました。2006年に有限責任中間法人 SHORINJI KEMPO UNITY に 名 称 変 更、2008年 に は一般社団法人に移行し、少林寺拳法の知的財産を保護するとともに、有効活用を行うための事業、また、少林寺拳法の普及・発展に貢献する団体などに対する支援事業などを行うことにより、人づくり運動をサポートしています。

♦金剛禅総本山少林寺

金剛禅総本山少林寺は、少林寺拳法による身心一如の修行を基に「自己確立」「自他共楽」の道を究め、日々の暮らしに生かすという独自の宗風を持つ教団です。

金剛禅は、人間が宇宙の大いなる働きを宿す“ 可能性の種子” であることを信じ、その可能性を開花させながら、お互いを尊重し合い、手を取り合って平和で豊かな社会を実現していこうと説いています。日本各地のおよそ2,000の道院では、子どもから高齢者まで、世代を超えて楽しく修行にいそしんでいます。

♦一般財団法人 少林寺拳法連盟

一般財団法人少林寺拳法連盟は、それぞれの地域の公民館、体育館で、スポーツ少年団などの活動や、幼稚園・小学校・中学校・高等学校・専門学校・大学など、学校のクラブ活動として、また、官公庁、民間企業など、職域のクラブ活動として少林寺拳法を普及させています。

こういった中で、男女を問わず、誰でも、いつまでも、楽しく、幅広い年齢層で親しめる少林寺拳法を通じて、豊かな人間性を涵養し、体も心も養う、「体と心の健康づくり」をしています。

♦学校法人禅林学園

1952年、少林寺拳法指導者の養成機関として開設された禅林学院がその前身です。これまで少林寺拳法の教えを教育理念に掲げ、専門学校禅林学園(旧・日本少林寺武道専門学校)や全国における武専コースでの人材育成に力を注いできました。 2013年には、禅林学園高等学校を開校し、新たな教育を展開しています。

♦少林寺拳法世界連合(World Shorinji Kempo Organization/略称:WSKO)

日本で創始された少林寺拳法は、1960年代後半ごろから日本国外にも広がり始め、現在では世界37か国(2016年4月現在)に普及しています。WSKO に加盟している各国連盟および各支部では、少林寺拳法の修練はもとより、少林寺拳法の教えに共鳴し、さまざまな実践活動(社会貢献活動)にも積極的に取り組んでいます。宗道臣という一人の人から生み出された少林寺拳法は、人々の心と心を結ぶ懸け橋となり、世界中の仲間たちが民族・文化・宗教・言語の違いを越えて友情を育み、四年に一度の世界大会・講習会、各地域の講習会など、国際色豊かな交流を行っています。

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少林寺拳法の創始の動機と目的
少林寺拳法とは何か
金綱禅とは
少林寺拳法の六つの特徴
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